「筋肉が決める顎の位置」は身体の力をぬいて安静にしている状態から無意識に顎を持ち上げて噛もうとするときの顎の位置です。これは「筋肉位」とも呼ばれています。
「上下の歯が噛み合ったときに決まる顎の位置」とは上下の歯が噛み合ったときに歯のかみ合わせ」によって誘導される顎の位置です。これは「習慣性咬合位」とも呼ばれています。
通常はこの二つの位置は一致しますが、上下の歯の位置関係がズレている場合とか、歯に詰め物をした直後などには一致しないことがあります。一致しないときには神経と筋の共同作業で顎を巧みにズラして噛めるようにしています。
つまり、筋肉位が妥協させられて咬合位に従わされていることになります。このように妥協的に顎をズラして噛めるようにしていると、顎を支えている顎の周囲の筋肉や顎の関節に常に負担をかけることになります。この負担が少ない場合には何も起こりませんが、ある限度の範囲を超えると症状として現れてくるのです。
この2つの顎の位置(下顎位といいます)がズレているときには、安静位から静かにかみ合わせたときにわずかに顎がずれるのがわかります。ときにはこれはちいさすぎて自覚できないこともあります。しかしいかにちいさくても、1日に2000回も習慣性咬合位でかみ込むのですからその影響は無視できないものになります。またズレに対する反応としての症状の出方には個人差があり、大きなズレがあっても症状がない場合もあれば、ちいさなズレにたいして大きく反応する場合もいあります。 |