顎関節症の治療法 |
いずれもズレのある顎位をできるだけ正しいポジションに近づけることを目標としています。
- 1. マウスピース治療で症状を緩和する
- 2. 矯正治療及び補綴[ほてつ](被せ物)による根本的な治療
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症状緩和、顎関節の保護に効果のあるマウスピース |
マウスピース治療に関しては軽症な方の場合は適切にマウスピースの使用で症状が改善され、生活に支障がなくなるケースがあることも事実です。歯ぎしりが多い方は就寝中も装着したり、ストレスを感じる時やパソコンの作業等集中している時に無意識に食いしばってしまう場合は、その時間帯にもマウスピースの装着することで顎関節へのダメージを緩和することができます。
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顎関節のズレをデジタル的に測定し診断 |
マウスピースは症状を緩和させても、顎位そのものを変えられるわけではありません。顎位の狂い方が大きい場合は矯正治療、あるいは補綴治療により根本的な治療を受けることをおすすめします。
歯並びの悪い方は顎のポジションもズレているケースが多いので、そのズレを矯正治療によって正しい位置に戻す必要があります。逆に、顎関節の位置がズレたまま歯並びを整えても顎関節症の改善は難しいといえます。それにより、矯正治療において噛み合わせ治療が非常に重要であるといえます。
従来の顎関節症の治療は、矯正医の経験や感覚に頼るところが大きかったのですが、最新の顎機能咬合診断システムの顎機能咬合診断総合プログラムにより3次元的に下顎の運動を把握することができるようになり、顎関節の位置のズレをデジタル的に測定することでより正確な治療が可能となっています。こうした機器を導入し矯正治療を開始すると3ヶ月後からあごの痛みや開口量が改善されるケースも多く、1年ないし2年かけて歯列の矯正をきちんと行なうことによって、症状がほとんど解消されるケースも少なくありません。
>>顎関節症の治療
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銀歯による治療が原因となるケースも |
虫歯治療などで保険治療による銀歯の被せ物をした場合、噛み合わせが低くなっていることが多く、それが原因となり顎関節症を引き起こすケースがあります。あごが奧に入り込んでいる場合は、仮歯を何段階か入れ直し、顎位を少しずつ高くすることによって顎を正しい位置まで引き寄せます。その結果、関節の動きがスムーズになり、開口量も増え、筋肉の緊張感も次第に取れていきます。こうした状況が満たされれば、このポジションを狂わせないよう最終的な補綴物を入れ、顎関節を安定化させます。 矯正治療の場合も、顎関節が削れてしまって顎位が戻せない場合やより安定を図るために「矯正+補綴」というコンビネーション治療を行う場合があります。
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患者様の症状を正確に把握し、より適切な治療を |
顎関節症はいったん症状がでると自然治癒が難しいため、放置すると慢性化して、場合によっては顎が左右どちらかに曲がってしまうなど、顔貌に影響を及ぼす場合もあります。そうなってからマウスピース治療を行なった場合、症状の緩和はできても、顔貌の歪みを治すことは難しいので、矯正治療、補綴治療という多角的なアプローチが必要になってきます。その患者様のあごの状態を正確に把握し原因を特定し、その原因を取り除くためにより適切な治療法を選択することが重要だといえます。 |